患者が増え、医療従事者の不足が進むと、当然ながら医師・看護師一人ひとりにかかる負担が重くなってしまいます。実際、人材不足でなかなか休みが取れなかったり、夜勤が続いたりする職場は多く存在し、当人が耐えきれず、離職や退職に繋がることも少なくありません。

そもそも医療の現場は、専門の知識を必要とする大変な仕事です。人材不足の影響で、何日も勤務が続いて疲れが溜まっていたり、まだ新人が現場で慣れない仕事を任されるようなことが増えれば、医療ミスや事故が起こる可能性も大きくなるでしょう。そのようなことを防ぐためにも、しっかりと人材を確保することがとても重要なのです。

医療従事者不足の問題を解消するには、主に4つの対策が必要だと考えられます。まず1つ目は、労働環境の改善です。事例として、電子カルテを始めとしたデジタル化を進めるなど、ITを活用して業務を自動化させるといった方法があります。積極的にテクノロジーに頼り、現場の負担を減らす工夫をすることが大切です。

2つめは、賃金の引上げです。離職の理由の1つに賃金の安さが挙げられるくらいに、医療従事者の仕事内容に対する賃金の安さは大きな問題であると言えます。忙しく難しい業務に見合うだけの賃金を得ることができるよう、国全体を含めた検討が必要です。

3つめは、福利厚生の支援です。現在、寮や院内保育所の設置や、通勤手当・住宅手当の他、潜在看護師と呼ばれる休職中の看護師を支援する制度などがあります。こうした取り組みを積極的に行い、興味を持つ人を増やすことが求められます。